手や足のほくろはメラノーマかもしれません。形や大きさに注意しよう。

突然ですが、あなたにほくろはありますか?

もしかして、手や足の裏にありませんか?

ほくろは誰でも1つくらいはありますが、もしかして怖い皮膚がん、メラノーマが隠れているかもしれません。

メラノーマ(悪性黒色腫)はどんな病気?

10万人に1人が発症

メラノーマは日本人に多いとされる有棘細胞がんの一種です。

日本には約4000人の患者がいるとされていて、発症率は人口10万に1人の割合です。(※2011年統計)


<出典:オノオンコロジー>

男女差はなく高齢者に多い

メラノーマの発症率に男女差はほとんどありません。

60~70代でもっとも多いですが、まれに20~30代、子供にも発症します。

皮膚の構造とメラノーマ

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つの層にわかれています。

UVA、UVBなどの紫外線が入ると表皮の一番深いところにある基底層のメラノサイト(色素細胞)が活性化して、メラニンと呼ばれる黒い色素が作られます。

これは皮膚の正常な防護作用です。メラノサイト自体はなんの問題もありません。

ただしメラノサイトが癌化するとメラノーマとなります。

メラノーマができる場所

メラノーマは皮膚や眼窩内、口腔粘膜などメラノサイトがある場所ならどこでもできます。

メラノーマの種類によってできやすい場所が違います。

メラノーマの種類と特徴

メラノーマは大きく分類すると末端黒子型結節型表在拡大型悪性黒子型の4つの型に分けられます。

末端黒子型

末端黒子型黒色腫は、四肢(手や足など)の端の方にできるのが特徴です。

日本人で発症率がもっとも多く、全体の5割以上を占めます。

最初は黒褐色のシミのようなものができます。

急激には大きくならず、何年もかけて次第に大きくなっていきます。最終的には皮膚潰瘍のような形にになります。

結節型

結節型黒色腫は、体中どこにでもできる可能性があります。

日本人で2番目に多く、全体の3割がこのタイプです。

急に硬いイボのような結節(塊)ができます。

メラノーマの中で一番悪性度が高く急激に悪性化するため注意が必要です。

臓器への転移もしやすいため、大変危険です。

早期発見が重要なメラノーマです

表在拡大型

表在拡大型黒色腫は露出している皮膚にできやすいのが特徴です。

日本人で3番目に発症率が高く全体の2割を占めるメラノーマです。

主な原因は紫外線であるため、顔、首や腕など紫外線を浴びやすい部分にできるのが特徴です。

メラニンの生成量に関係があるため人種間で発生率が違います。

人種間で発生率が違う
メラニン色素の少ない白人では全体の6割を占めますが、黄色人種の日本人はメラニンの生成量が多いため全体の2割と少数です。しかし最近は増加傾向にあります。

日本人でも色白だったり、いつも日焼けをしている人は要注意です。

悪性黒子型

悪性黒子型黒色腫は顔にできやすいのが特徴です。

日本人では一番発症率が少ないメラノーマです。

顔にできたシミのようなものが、次第に大きくなり膨らんでいきます。

高齢者の顔の皮膚にできることが多いですが、進行がゆっくりであるた早期治療がしやすいメラノーマです。

メラノーマはなぜ怖い?

メラノーマはもっとも怖い皮膚がんのひとつです。

死亡率が高い

日本におけるメラノーマ患者は約4000人と言われていますが、年間の死亡者数は600~700人とされており、非常に死亡率が高いことがわかります。

転移が早い

メラノーマの種類によって悪性化のスピードは違いますが、もっとも危険な結節型では悪性化、転移が非常に早いことがわかっています。

発生してから、数週間~数ヶ月以内に転移が起こることもあります。

メラノーマはリンパ管を通って転移するリンパ管行転移をすることがわかっています。

他の皮膚癌と違って、リンパ管が近い基底層で発生したメラノーマはリンパ管を通って全身に広がりやすいのです。

出典(改変):ナイス!シニア更年期/介護/相続…40代からの新常識

癌の標準治療が効かない

皮膚表面にできた癌は、外科的な切除をした後に放射線治療や抗がん剤治療を行うのが標準的な治療です。

しかしメラノーマは放射線治療と抗がん剤のどちらも効きにくい性質をもっています。

もし、内臓に転移してしまうと放射線治療や抗がん剤に頼ることになりますが、あまり効果は期待できません。

悪性黒色腫の新たな治療薬

最近メラノーマ患者に対するオプジーポの適応が拡大されました。

根治切除不能な悪性黒色腫に加えて化学療法未治療の根治切除不能な悪性黒色腫に対しても使用が可能になりました。高い効果が期待される新薬ですので注目です。

メラノーマだと気づかない!?

一般的に皮膚がんは、肺や肝臓などにできる癌と違って目で見つけることができるため、早期発見が可能です。

でも、メラノーマは違います。

確かに目で見つけることはできますが、「ほくろ」とよく似ているため気づかないのです。

ほくろは、正常なメラノサイトが集まったものです。メラノーマはメラノサイトが癌化したものなので、非常によく似ています。

とくに初期のメラノーマとほくろを見分けるのは、素人には無理といってよいでしょう。

そのため、「ずっとほくろだと思っていたら実はメラノーマだった」ということが起こります。

それが、早期発見を遅らせる原因です。

医師はどうやって見分けるの?

よく似ているメラノーマとほくろを医師はどうやってみわけるのでしょうか?

皮膚科を受診すると、ダーモスコープという専用のルーペで検査をします。

皮膚面に光の反射を抑えるジェルを塗ってから、ライト付のルーペでじっくり調べます。

メラニン色素の分布や毛細血管の走行を確認してして診断します。


皮溝部(溝の部分)に平行に一線状の色素沈着があり色素細胞母斑だと考えられる例(出典:Nikkei Medical 2005.9)

淡い色だが皮膚溝(溝の部分)でない皮丘にもびまん性の褐色素沈着が見られるメラノーマだと考えらえれる例

とても有用な検査ですが専門の知識をもった皮膚科の医師でなければ正確な診断はできません。

MEMO
※メラノーマ自体の数が少ないため、医師によっては経験が浅い場合もあります。小さな病院よりは総合病院、大学病院など大きな病院を受診するのがお勧めです。
参考 ダーモスコピーの有用性皮膚悪性腫瘍ガイドライン

こんなほくろには要注意

メラノーマの早期発見には、何か変だな・・と思うことが大切です。

ほくろや突然できたシミなどにこんな変化があったら注意してください。

突然ほくろができた

未成年ではあまり問題ありませんが、それ以降にほくろができたときは注意が必要です。大きさの変化や形などを注意深く見ておきましょう。スマホなどで写真をとっておくと後から比較できます。

急激に大きくなった

未成年では問題ありませんが、30代を過ぎてから急激に大きくなったほくろには注意が必要です。
数ヶ月で直径が7mm異常になったら危険です。すぐに皮膚科を受診しましょう。

左右が非対称でいびつな形をしている

良性のほくろは、円形、楕円形などをしていますが、左右が対称になっています。
もし、左右が非対称で、いびつな形(形に角があったり、ギザギザしている)な場合はすぐに皮膚科を受診しましょう。

色がまだらで濃淡がある

一般的に良性のほくろの色は均一です。もし、ほくろの色がまだらだったり、色が薄くなって黒からグレーになったりした場合は注意が必要です。

気になるときはすぐに皮膚科を受診しましょう。

診断基準のABCDE

実際に臨床の場で使われる診断基準はこちらです

出血している

ほくろから出血していたら注意が必要です。出血は進行している場合に多いようです。

かゆみがある

ほくろがかゆかったり、ピリピリと痛かったら注意が必要です。

手足にほくろがある時は注意!

末端黒子型のメラノーマは、手の平や指、足の裏や指にできます。

もともとメラニンの少ない場所であるので、ほくろができるのは不自然です。

また、日常生活で物をつかんだり歩いたりするだけで刺激を受けるため悪性化しやすくなります。

爪にもできることがある

爪に黒いスジのようなものが入ることがあります。

出典:新潟県立がんセンター

 古い傷跡にも注意が必要

昔のやけどや皮膚の傷跡にも注意が必要です。

一度完治していても、何年、何十年経った後にそこからメラノーマが発生する場合があります。

古い傷が黒ずんできたり、ジュクジュクと潰瘍のようになってきたら皮膚科で見てもらいましょう。

メラノーマにならないためにできること

メラノーマは種類によってさまざまな原因があります。

完全に予防することができませんが、できるだけリスクを減らすことはできます。

日焼け止めを使う

表在拡大型のメラノーマの原因は紫外線とされています。

もともと色白だったり、スポーツやサーフィンなどをして長時間紫外線を浴びる人は対策が必要です。

従来は、日焼け止めにはメラノーマの発生を抑制する効果はないとされてきました。

しかし最近では、UVA,UVBからの影響を効果的に遮断できる日焼け止めを使えば発生の効果があるとされています。

参考 日焼け止めのメラノーマリスク低減能を保証Journal of Clinical Oncology

この論文では、「Sun protection factor (SPF)>15の日焼け止め剤により、メラノーマリスクが33%低下した。45~75歳の女性がSPF>15の日焼け止め剤を用いると、メラノーマの発生を18%抑制できる。」と結論づけています。

長時間紫外線を浴びるときはSPFが15以上の日焼け止めを使いましょう。

ほくろを刺激しない

ほくろとメラノーマはまったく別のもですが、ほくろを刺激するのはよくありません。

ほくろと初期のメラノーマは見分けがつかないからです。

もし、ほくろではなく初期のメラノーマだった場合、一気に悪性化する可能性があります。

  • ほくろをいじくる
  • ほくろの毛を抜く
  • ほくろを自分で取ろうとする

家族で皮膚癌になったことがある人がいたら特に注意する

メラノサイトの癌化には、紫外線や皮膚への刺激が影響しますが、それ以上大きく関係するのが遺伝です。

メラノサイトの量や活性度は遺伝子によって決まります。似ている遺伝子をもつ家族や近い親戚にメラノーマになった人がいる場合特に注意が必要です。

最近は、簡単に癌になりやすい遺伝子があるかを調べることができます。

もし癌になった人がいなくても、こんな場合は注意が必要です。

  • 色白である
  • ほくろがたくさんある
  • 紫外線をたくさん浴びている
  • 癌(メラノーマ以外)になった家族や親戚がいる

メラノーマは早期受診が大切

メラノーマは、あまり知られていない皮膚癌ですが、悪性度はトップクラスです。

もし気になるほくろがあったら、すぐに皮膚科を受診しましょう。

今回紹介した内容はあくまでも一般論です。あてはまらなくても、気になるときはすぐに受診をしましょう。

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