介護士の給与水準や仕事内容は、介護施設の形態(タイプ)によって違います。
特養など24時間の介護が必要な施設では給与水準は高く、日中の勤務のみの訪問介護では給与は低めです。
また、終身介護を行う施設と自立復帰を目指す施設では介護の内容も変わります。
この記事では、介護施設のタイプによる仕事内容と給与水準の違いを紹介します。
特別養護老人ホーム:給与水準が高い!
特別養護老人ホームは、常に介護が必要であり、自宅での自力生活が難しい要介護3以上の高齢者が入所の対象となります。終身まで入居が可能な施設です。「特養」とも呼ばれます。
食事、入浴、排泄の補助などの生活介護の他に健康管理や機能訓練なども行われます。
29人以下のものは、「地域密着型特別養護老人ホーム」と呼ばれています。
地域密着型特別養護老人ホームには、大規模な本体施設の近くで運営されるサテライト型と29人以下の単独の施設で運営される単独型があります。
サテライト型は本体施設から20分以内の場所にある必要がありますが、本来義務つけられている人的配置(医師や相談員など)や設備を本体施設と兼用することができるため、普及が進んでいます。
単独型は、29人以下の少人数であるため、アットホームな雰囲気で手厚い介護が受けられます。デイサービスやショートステイを実施している施設も多くなっています。
デイサービスやショートステイでは、送迎も介護士の仕事のひとつになります。
従来は、送迎時に利用者の家族が自宅にいる必要があり負担がかかっていました。現在は、介護報酬改定により、利用者の着替え、ベッドから車椅子への移動、自宅の戸締りなどを介護士が行うことができるようになりました。
ただし、このような居宅内介助サービスは、介護職員初任者研修以上の資格が必要となります。
特別養護老人ホームで勤務するには、介護資格をもっている方が有利となります。
特別養護老人ホームは給料が高い
自力で生活が困難な要介護度の高い高齢者が入所するため、24時間体制の介護が行われます。そのため、夜勤はもちろんのこと、早番、遅番などの交代制も実施されます。
これらの勤務には手当てがつくため、給与は高くなりやすいです。
また、終身入所が可能なため、施設として収益が安定しやすく福利厚生もしっかりしています。
早番、遅番、夜勤などがあるため生活のリズムは乱れやすいですが、給料をたくさんもらいたいなら「特別養護老人ホーム」を選びましょう。
それに加えて介護資格をとることでさらに給料のアップが見込めます。
介護老人保健施設:給与と福利厚生が良い!
介護老人保健施設は、病気やケガで入院後すぐに自宅で生活することが困難な要介護1以上の高齢者が入所の対象となります。自宅復帰が原則であるため、3ヶ月ごとの更新制となります。「老健」とも呼ばれます。
在宅での生活復帰を目標としいるため、作業療法士や理学療法士によるリハビリ、栄養士による栄養管理、介護士による介護サービスが行われます。
作業療法士や理学療法士は、利用者の自宅を訪問し自宅復帰に必要な回復の程度を確認します。
また必要であれば、復帰後に必要な環境の整備(自宅の改修など)に関するアドバイスも行います。
他職種で介護が実践できる。給与も高い水準
医師や看護師が常駐しており、作業療法士や理学療法士などの他職種のスタッフも多いため、安心して介護サービスを提供することができます。
特養と異なり、自宅復帰を目的としたリハビリが主になるため、レクリエーションやイベントなどはあまり行われません。
介護老人保健施設は、社会福祉法人や医療法人が経営することが多く、収益が安定しています。また、リハビリや医療ケアを含めた収益もあるため、住宅手当や福利厚生なども充実しています。
そのため、給与水準は特養に次いで高くなっています。
さまざまな職種の人と働きながら、高い給与をもらいたいなら「介護老人保健施設」を選びましょう。
訪問介護サービス:給与は低めだが対人関係に悩まない!
訪問介護は、自力で生活のできない高齢者の自宅に介護福祉士や介護士(ホームヘルパー)が訪問して、自立生活の支援をするサービスです。要介護1~5、要支援1~2の高齢者が対象となります。
食事や入浴、排泄などの身体介助の他に、掃除、洗濯、買い物代行などを行います。
すべてを一人で行う必要があり、介護職員初任者研修(またはホームヘルパー2級)以上の資格が必要です。
対人関係が楽だが、給与は水準は低め
訪問介護サービスは基本的には日中に行われるため、夜勤や時間外手当はありません。(一部夜間対応している場合もあります)
そのため給与水準は、特養や老健に比べると低い水準になっています。
訪問介護は、基本的に一人で行うため他の介護士とのしがらみがありません。大きな施設での対人関係が心配な人に向いています。
また、夜勤がないため、子育てや家事のために夜に自宅にいる必要がある人に向いています。
グループホーム施設:初心者でも働きやすい!
グループホームは、65歳以上で要支援2または要介護1以上の「認知症」の高齢者が入所の対象となる介護福祉施設です。
グループホームの名称の通り少人数制であるのが特徴です。1ユニットあたり5~9人の構成で、1施設あたり2ユニットまでとされています。
生活スペースは個室または半個室となっており、入居者同士の交流スペースも設けられています。
入浴や排泄、食事などの身体介護のほかに日常生活支援やリハビリ、レクリエーションなどが行われます。
認知症の高齢者が対象となるため、認知症ケアの知識を持つ介護職員やレクリエーションの資格をもつ職員などが配置されます。
初心者でも働きやすく平均的な給与がもらえる
グループホームは、社会福祉法人、医療法人、民間企業が運営しています。このうち、社会福祉法人や医療法人は、補助金の条件を満たすために給与体制や福利厚生がしっかり整備されています。
民間企業の場合は、補助金がでませんが母体の会社が大きければ平均的な待遇が見込めます。
グループホームは、自立して生活できる入所者が多いため、未経験でも、無資格でも働きやすい職場です。
グループホームは、未経験、無資格で働くことが不安な人に向いています。
しかし、夜勤業務を一人で行うこともあるため、早めに介護資格をとり専門知識を身につける方が安心です。
まずは初心者向けの職場を探そう
施設によっては、介護度の高い入所者が多い施設もあります。当然業務も大変になります。
そんな職場を選んでしまわないように、「かいご畑」の利用をおすすめします。かいご畑なら選任コーディネータが「介護度の低い入所者が多い施設」など希望にあわせて職場を探してくれます。
また、かいご畑経由で就職することで、働きながら無料で介護資格をとることが可能です。
デイサービス:給与は低めだが時間外勤務が無い
デイサービスは、利用者が介護施設に通って利用するサービスです。要介護1~5の高齢者が対象となります。それぞれの契約にあわせて、決められた時間だけ介護施設を利用します。
基本的に利用者は、施設の車やバスで送迎されます。
デイサービスでは、入所者と同じように食事や入浴、排泄などの身体的介護やレクリエーションなどのサービスを受けます。
夜間や時間外勤務はないけど、給与は低め
デイサービスは、日中に行われるため夜勤などはありません。また、シフト勤務もないため生活のリズムがくずれにくく、体力面が不安な人に向いています。
しかし、時間外手当がつかないため、給与は低めです。
デイサービスでの勤務は、育児や家事などで夜間に家をあけれないなど、勤務時間が限られている人に向いています。
働く場所は、勤務形態と給料で選ぼう
介護施設の種類はさまざまです。形態によって、仕事内容や勤務時間、そして給与は大きく違います。
特に夜勤やシフト勤務の有無によって仕事量や給料は大きく変わります。
介護士になって職場を選ぶときは十分に考えましょう。
給料を増やしたいなら介護資格をとろう
施設選びと同じくらいに重要なのが介護資格です。
同じ施設で同じ仕事をしていても、資格がないだけで給与は大きく下がります。
良い職場選びに加えて、介護資格を早めにとるのがおすすめです。
\ 利用方法をイラストで解説! /
コメント